2011年12月11日 オーストリア・WESTbahn開業 一番列車乗車記 |
急遽お呼ばれしたおひさまさん・Daisさん宅で、美味しい~自家製ラーメンを頂いた7時間後。
早朝のザルツブルク中央駅
オーストリア鉄道史上初!
オーストリア連邦鉄道(現在は民営化)のウイーン・ザルツブルク間の主要幹線に、全く別な私鉄車両が定期運行を開始。
日本の距離で例えると、東京~名古屋間のJR東海道新幹線の線路に、線路だけ借り合間を縫って他社の列車が走るようなものです。
わざわざモニターにも、DB(ドイツ鉄道)、WEST(WESTbahn社)など、各社の表示が出るように・・・。
オーストリア連邦鉄道ÖBBに対抗して出来たのは、「WESTbahn」社。
オーストリア・フィラッハを本拠地に置く、ヨーロッパ有数の大手建設会社STRABAG社、フランス国鉄SNCFのジョイントベンチャー鉄道会社。
2011年12月11日5:26ザルツブルク中央駅発の一番列車に乗車してきました。
オーストリア鉄道史上初の出来事なので、ホームでのセレモニーや報道陣、そして多数の撮り鉄を予想していたところ・・・。
シーン(苦笑)
確かに報道陣向けの試乗会は12月9日に終了してますが・・・・・・。
列車は当初の予定と変わって、ドイツ・フライラッシングが始発駅、Salzburg Taxham Europark(ショッピングセンターがある駅)を止まり、ザルツブルク中央駅、ザルツカンマーグート地方への分岐点アットナンク・プッフハイム駅・ウェルズ・リンツ・アムシュテッテン・サンクトペルテン・ウイーン ヒュッテルドルフ駅・ウイーン西駅の順に停車。
ドイツ・フライラッシングからの正真正銘1番列車(ウイーン発の1番列車は5:34出発で8分遅い)が予定より早く5:15に入線、
撮り鉄・乗り鉄 約20名が乗りこみます。
車内は明るい緑・青系、このコンパートメントがオーストリア唯一となった喫煙室。
空気圧をかけて他の場所に煙草の煙が漏れない工夫があると、事前に報道されてた部分。
6両編成のうち、先頭と最後尾車両がCLub車両といって、75%の割増料金で1人の場合隣に人が座らず、しかも広々とした机がついているという1等車。
全車両本革シート
2階席は荷物スペースが少ないものの、1階席はこの通り、
通路も広く、
各座席にコンセントもあり、
事前の宣伝にもよく登場していた、ワイヤレスLAN接続無料サービス(オーストリアテレコム提供)
早速接続してみます。
なぜ表示がフランス語・英語、おおもとの設定が何か間違っているようです(笑)。
列車のチケットはWESTbahn社のものしか有効ではありません、ÖBBのチケットでは乗車出来ないので御注意を・・・。
列車のチケットはインターネット、または乗車後に購入。ÖAMTC会員(日本のJAFと同じ)には割引もあり、私の場合はLufthansa Miles&Moreのマイルが加算されますが、初日なので車掌(スチュワーデス・スチュワート)所持の端末にまだ設定が出来てないとのこと!(笑)
日本と違って「初日だし、まだまだ色々出来てないから仕方ないよね~~~」(車内スタッフ談)、緩~~~いオーストリア。
私は12月11日~17日乗車限定の7777枚 7ユーロ インターネットチケットを購入。
端末の操作に手間取っているところに、女性のトレーナーが登場。
「あ~、今日はインターネットのチケットの場合入力するだけで良いからね。今日の段階ではまだプログラムが運用できてないからマイレージ加算も出来ないし、割引も入力できないから」
この座っていた場所が75%割増の先頭車両(1等車)と言うことは、出発してしばらくしてから知りました・・・が、「初日の1番列車なので、別にいいですよ~」だそうです。
とてもこの日の為にリハーサルしてきたプロとは思えない車内放送に、スチューワーデス・スチュワート、鉄マニア一同驚き笑いつつ、和やかなムードの車内。
初列車のスチュワーデス・スチュワート2人。
女性・男性ともにジーンズ、女性のみ帽子着用だそうです。
私の近くに座っていた鉄マニアは他社の本職の方で、乗車中に「ここから電圧が変わる」とか
「連邦鉄道の高速車両の場合、電気機関車タウルス運転席のコンピューターに、車両の両数や通行区間データーを入れないと、動力やブレーキの計算などが上手くいかないから、結構スタート前が面倒なんだよね。この会社は6両で区間も固定だしいつも同じパターンしかしないから、即スタート出来ると思うし簡単だと思う」とか
さらには
「この区間(ザルツブルク~ウイーン)なら目隠ししても運転できるよ」と言っていてビックリ。オーストリア鉄道の歴史にも詳しく、この方に同行していたドイツからの鉄マニアに正しい知識を教えていました(笑)。
この本職の方、スチュワートに「初日だし、もしも言わせてもらって良ければ、ちょっとアドヴァイスしたいんだけど・・・」と前置き、「駅に到着する時は、ホームに入ってから停車駅をアナウンスするのは遅すぎるから、皆さんまだ慣れてなくて。駅手前の風景が分からないのは理解できるんだけど、時間を見ながらで良いから、停車駅の3分前にはアナウンスした方が良いよ」
と当たり前のアドヴァイス(笑)。
スチュワートも「確かに! 車内放送の担当者にこの件を今伝えて来ても良いですか?」と聞き、早速別車両に出かけて行きました。
それ以後は到着1分前程度のアナウンスでしたが、ホームに入る前には言うようになりました(笑)。
車両には2両に1か所程度、スナック販売コーナーがあるとのこと、
連邦鉄道より安い、随分良心的な値段・・・。
ところがスチュワートに質問したところ、
「御存じの通り、この列車は本当にこの会社で1番目の列車なので、飲み物の自動販売機は稼働してますが、食べ物は全くありません! リンツで搭載予定なのでお待ち下さい」とのこと、
それでもカプチーノを買いに出かけ
ところが後で聞いたのは、結局リンツでもクロワッサンしか来なかったとのこと(笑)。まあ初日ですしね。
トイレの表示も現代的、
お2人とも慌ててますか???????(笑)
少々狭いのと、外からのドアのノブ操作が、今までと違ってちょっと戸惑いつつ・・・。
スイス・Stadler社製車両
+と赤字で表示されているのは、遅れている秒数だそうで、秒数が表示されるのは初めての経験でビックリ・・・。
そして定刻通りウイーン西駅に到着。来年以降ウイーン中央駅が完成しても、WESTbahn社は今まで通り、ウイーン西駅を発着予定。
こういう風景も2012年12月まででしょうか?
ウイーンのホームは固定されているらしく、車両編成表の表示も・・・。ザルツブルクでは現在毎回ホームが変わる可能性大なので、表示はありません。
そしてそのまま向かいのウイーン西駅8:34発 フライラッシング行きに乗車、ウイーン滞在約8分間(笑)。
早速通ったばかりのシェーンブルン宮殿前を、また通過!
今回は遠慮して(?)、普通の車両へ。確かに大きな机が無い・・・、でも結構な広さ。
WESTbahnでは必ず1両に一人居る専任のスチュワーデス・スチュワート。
帰りの列車はかなり若いスチュワーデス、サービス業に不向きな雰囲気が相当あり・・・・・・・。
やっと正しいコップで飲めたカプチーノ(行きは搭載してなかったので、サイズが違う物で飲んだ)。
スチュワーデスはこういった物を渡すのにも、「Bitte」が全く無く、小学校でも幼稚園でも人に物を渡す時には必ずBitteを言う様に言われるのですが・・・・・・・・・・・。
そしてやっとWESTbahnタルト 3ユーロを発見して購入。
ラズベリーと濃厚なチョコレート味がピッタリな、タルト。
WESTbahn車内の食べ物は、有機栽培使用のStröck社。
色々思いつつ1番列車で5:26にザルツブルクを出発してから6時間後、11:31にザルツブルクへ戻りました。
狭い運転席には初日なので5人のスタッフ、
改装工事が続くザルツブルク中央駅、
列車は車庫にしている、ドイツ・フライラッシングまで、まだ進みます。
1番列車に乗って8分のウイーン滞在、そして11:31にザルツブルクへ戻ったマニアックな乗り鉄は、私だけではありません。
最後にご紹介するビデオにも写っている若い鉄カップル、老鉄マニア2名、私の合計5名いました(笑)。
初日1往復の感想
1.
乗車券は本来ザルツブルク~ウイーン間23.80ユーロで、オーストリア連邦鉄道の半額、私たちのように、半額になるパス(Vorteilscard 100ユーロ程度)を買わなくても割引なのは、旅行者にとっても使いやすい。
連邦鉄道は税金からの補助が、乗客の少ないザルツブルクより先の区間の為に相当な金額あるため(年40億円近く)、価格競争を禁止されているので安くは出来ない・・・。
2.
毎日季節・曜日・祝日を問わず毎時同じ時間に出発してわかりやすい、
ザルツブルク発 5時~19時 毎時26分
ウイーン発 5時~20時 毎時34分出発
所要時間は2時間56分か3時間。
3.
ホームページでは分かりにくいものの、チケットはどこで買っても均一料金で購入日から1年有効(連邦鉄道はインターネット予約が一番安く、次に窓口が若干高くなり、車内で買うと罰金のような形で割高)。
乗客は古き良き単純な料金設定を求めているので、WESTbahnの形が高齢者にも喜ばれているのは確実・・・。
途中下車は24時間以内のみ可能。
4.
スチュワーデス・スチュワートがまだ不慣れなので、連邦鉄道のように乗ってきた乗客全員をまだ把握できてない=チケットを端末に読み込ませてない=チケットにはスタンプしないので1年以内にもう一度使える(笑)
というのを帰りの列車で実際に見ました。
5.
空気ばね車両の為、2階席は最高速200km/hを出すと、区間により結構揺れるので要注意。
6.
まだ乗務員が慣れてないので、対応の個人差が激しい。楽しいスチュワート・スチュワーデスの車両だった場合、各所で随分と盛り上がる(例・行きの1番列車内)。
連邦鉄道の乗り継ぎ時間などの情報が分からない。
7.
乗務員の募集要項には「英語必須」が書いてあったのに、車内では往復一度も英語の放送がなかったので、英語のみの方は乗務員と直接お話を(笑)。多分来週には改善されるのでは?(苦笑)
8.
車内がまだきれいで、明るい雰囲気。良心的な値段のビストロコーナー。
事前の座席予約が出来ないので、どうしても座りたい場合、先頭・最後尾車両で75%割増を払う日が夏などは出てくる可能性大。
今日の段階では連邦鉄道割引カードVorteilscardを持っている私としては、やはり長年のプロ仕事の安心感がある車掌の連邦鉄道レールジェットに乗りたい気分ですが、今後改善されてくるとどうなるでしょう?
1時間に1本のみのWESTbahnの列車に遅れやトラブルが起きた場合、イギリスと同じ上下分離方式ではどうなるのか? など、今後の展開に注目したところです。
sepp
しかもウィーン8分滞在とは驚き!
これほど詳しく紹介していただき、「オーストリア好きの鉄」(笑)としてはうれしい限りです!
突っ込みどころが本当に多いですが、、、さすが、ゆるいですね~オーストリア、やっぱり「か~んざい~ん」でしょうか?!(←旅の指差し会話帳・オーストリア編で紹介されてました・苦笑)
でも、時刻表示が秒単位、って、、、変なところに細かいですね・・(失礼!笑)
まだスタッフやハード面で改善の余地があるものの、この料金で、この設備、そして所要時間は魅力ですね!
軽食コーナーがあるのはOebbのICよりもいいかもしれません。
値段も高くないようなので、3時間の乗車なら寄ってみたいです!
てか、コーヒーの紙コップはコレクションに持ち帰りたい・・・(笑)
あと、無線LANで出てた言語、ドイツ語が無いって、、、日本じゃ即クレームですね。(苦笑)
最後に、、、
この情報、よろしければ、他のサイト、例えばウチのブログやm●x●で紹介させて頂いてもいいでしょうか??
興味があるお友達がいたので。。
一番列車レポート、前日寝たのが0時頃なのに良く間に合いました(笑)。大抵鉄ネタを書くと、アクセス数が下がるのですが、今回は何としてでも、「オーストリア鉄道300年の歴史の中では、革命的事件」(ザルツブルク新聞より)なので、FBのWESTbahnにもリンクしました。
突っ込みどころ満載というか、この状態だったのにテレビのインタビューでは「オーストリア航空の元客室トレーナーなどによる、長い長い訓練を経て、本当に大変でした!」と言ってますが?(笑)
Das kann sein. oder schau mal の精神ですね。
秒単位の数字、もしもプログラムがいじれたらそのうち消すのでは? ウイーン発の1番列車には、エアコンを開発した担当者2名が乗りこんで、1車両8台ついているエアコンが、連邦鉄道と違って自然な空気を送り込んでいるか? そして喫煙室の煙が漏れてないか、確認するため乗車していたそうですよ!! ホント変に細かいです(笑)。
紙コップもなかなか洒落ていて、車内全体に珍しく統一感がありました。コップは是非お持ち帰りを!
お友達にも今回の内容、是非ご紹介ください!
sepp
朝、通勤電車の中で小さい携帯電話の画面で読みながら、笑いを抑えるのに必死でした。。真っ暗なザルツブルクから乗車されて、ウィーン滞在8分の往復旅行!マイラーもビックリ。そして何もかも緩〜い雰囲気溢れる車中の様子や、各開発担当者が拘ったであろう細部の描写、seppさまの視点が抜群にいい感じです。最初のカプチーノは、機械の調子が悪くて、ちょっとしか出てこなかったのかと思いました。まさかコップのサイズが間違っていたとは。プッ。一番笑ったのは、トイレのマークでしょうか。ちょっと恥ずかしいですが、絶対に受けるデザイン。。
お値段、優しいですねぇ。レイルパスを使うよりも気軽にお安くあげられますね。座席予約ができないのが、ちょっと残念。トランクを持っての一人旅では事前手配をきちんとやって、できるだけ現地で余裕を持たせるようにしていますが。。。むむむ。時間を選んで、乗るしか無いかもしれませんね。
来年の夏、これでウィーンまで日帰り旅行でもしてみようかな。
ところでマイルはLHだけですか?スターアライアンス全部ですか?(ちょっとしたマイラーです、はい。)
長~くなってしまったレポート、滞在時間8分をしたマニアが5人も居て、悔しかったような? 地元新聞記事写真にも、私の赤いダウンジャケットが若干写っていました。
日本だったら、開業前に何度もテストして、初日からトラブルが無いように心がけるはずが、プログラムの運用が出来てないとか、そんな細かいトラブルを吹っ飛ばすような緩さでかなり笑えました。
経営陣は私と同じ8:34ウイーン発でザルツブルクまで乗っていたそうで、「最初の列車の出発を見届ける」などという事はなかったようです(笑)。
。トイレのマークは、どうかんがえても受け狙いでしょう・・・(笑)。かなり慌てたお2人でした。
座席予約出来ない分、先頭車両に乗れば問題ないと思うので、是非次回トランクを持ったまま試しにご利用ください! ただし車両担当のメンバー次第では、とてもサービス業とは思えない応対の可能性もあり危険ですが・・・。
マイルは多分Miles&Moreだけだと思います。記事を楽しんで頂けて安心しました!
sepp
数週間前にザルツブルクでお世話になった者です。
翌日、午前は市内をめぐり(エレベーターの方からめぐりました)、ウィーンに向かおうと中央駅に行ったところ、たまたまwestbahnがありましたので、乗ってみました。
(そして、Westbahnを検索したら、ご紹介頂いた「ザルツブログ」がヒットして、しかも一番列車に乗られていたとのことで、びっくりしています…。)
無線LANや電源も完備していて、車内販売のサンドイッチやビールもおいしく、快適でした。そしてなんといっても、ここで紹介されているように、トイレのデザインはユニークでした(笑)。
ザルツブルクからLinzまで、日本語のアナウンスが流れていてびっくりしました。乗務員に聞いたら、日本語を勉強中のスタッフがいるそうです。
色々とおもしろかったので、また機会があれば乗ってみたいです。
コメントありがとうございました! 数週間前にツアーにご参加いただいたとの事、日付を書いていただくと、どなたか分かるような?!
ツアー中はまさか説明しませんが、幼少の頃から鉄(乗り物)マニアでもあり、Westbahnは早朝からチャレンジしました(笑)。のんびりしていて、食事も安価で良いですよね! トイレも面白いですし、一車両一人という責任体制も良いと思います。
日本語アナウンスをすることもあるのですね! ウィーンには日本学科がありますし、こうした試みが広がると面白いですね~。
機会がありましたら、是非Railjetとの比較乗車もお試しを!
sepp
こんにちは!12日か13日だったと思います。連れが酔いやすいのでミニバスで席を前方にして頂いた者です。
sepp様は、博学な上に、鉄分もお持ちだったのですね(笑) 私は途中から電光掲示板のスピードメーターをずっと見てました。199kmをずっと維持していて、なかなか200kmになってくれないという…。
同じ車両に日本人っぽいお客さんは見かけませんでしたが(きっと「歩き方」に詳しい乗り方が書いていないせいでしょうね…)、日本語アナウンスはサプライズでしたので、機会があればWestbahnの方によろしくお伝え下さいませ。
ミュンヘンからザルツブルクまでOBB自慢のRailJetに乗りたかったのですが、乗りたかった時間帯の列車がICだったのが残念です…(チケット代が安かったのはありがたかったですが)。RailJetやICEは未体験なので、乗ってみたいです!
車内の座席を変わった方でしたね、了解しました。
鉄分は遥か昔からありますが、まさかツアー中の説明には・・・(笑)。
200km/hになり得る場所は、Wels- Linzの直線区間、Amstetten- St. Poeltenの新線区間、またはSt. Poelten- Wien Huetteldorfの新線区間だけですね。RJは2:22での運行なので、かならず200km/h超ですが、Westbahnは基本的にICと同じ設定なので、それほどは出しません。空気ばね車両で2階席は揺れますので、あまり出さない方が乗り心地は良いような・・・。
日本語アナウンスの件は、次回乗車する機会があるとき、係員に質問しておきますね。
私たちは連邦鉄道のVorteilscardという、年間通して半額になるパスを100ユーロ以上も支払って所持しているのですが、ここまでWestbahnが安く、おまけに連邦鉄道自身も早割のような制度を作ってしまったので、100ユーロ以上支払う意味が全くなくなってしまいました・・・。
是非もっと長距離にご乗車なさると、ヨーロッパの鉄道の良さ(食堂車など)がお分かりいただけるのでは? 是非次回も鉄の旅を!
sepp