1849年とは |
エドガー アラン ポーが死んだ
ウイーンでヨハン シュトラウスが死んだ
パリではフレデリック ショパンが死んだ。
アメリカ カリフォルニアではゴールドラッシュのピークを迎え
北海道で日本最後の城、松前城の建城が始まった。
西郷隆盛は21歳、坂本龍馬は13歳。
イングランド北西部で物理学者ジョン フレミングが生まれ
新撰組最後の生き残り池田七三郎が生まれ
緋村剣心 (架空: 「るろうに剣心」緋村抜刀斎) が生まれた、
そういう年が、1849年。
( 映画「るろうに剣心」を創る、尊敬する古い友人がいるもので、つい。。 調べてみたら、ドンピシャ!!)
18世紀から19世紀にかけての産業革命に続き、ヨーロッパでは農業技術の革命が起こり、生産量を飛躍的に伸ばす。
金属の加工技術が高まり、その影響を受けて楽器界も激動の時代だったらしい。
例えば、1849年39歳のロベルト シューマンは次々に弦楽作品を発表するなか、当時新しく出来たヴァルヴホルン ( 今のホルンの始まり) の為に、初めて可能になった "演奏家が苦労しない" 半音階を駆使して「アダージョとアレグロ」を作曲。
楽器職人アドルフ・サックスがサクソフォーンを考案したのも1840年代だ。
古いものと新しいものが入り混じるのは、何時の時代を切り取ってもそうだろう。
しかし隅々の人達まで、メンタリティを含めこれ程までに新旧が物凄い量で同時に共存しなければならなかった時代は、後のコンピュータ革命まで無かったのではなかろうか。
当時のオーケストラの様子を想像してみてください。
次々と、色々な方面から、新しい楽器のニュースが飛び込んでくる。
(注: 弦楽器は弓以外ほとんど変わらず。既に17世紀には完成形となっていた)
興味を持つ奏者は、なんとか新しいシステムを手にしたいと願い、旅をしてそれを試しに行く。
運良く手に入れて実際に使ってみる。
コンピュータの様に初期不良は当然目立ち、また音楽家自身の古い習慣が邪魔をする。
じゃ、自分でも改良してみようか、という人達が一人や二人ではなく、ざっと30人くらい現れ、更に混沌を招く。
実際、同じオーケストラ内で新しい楽器に顔を顰める保守派との対立の記述もあり、どちら派も頑固に自分が良いと思う方を使い続けていたそうです。
余談ですが。。。
現在私が仕事している、そして時々お世話になる幾つかのオーケストラ内では逆の現象が起きています!
観客からも演奏家からも古い楽器への感心は高まり、古楽器専門ではないモダン楽器のオーケストラの中でホルン、トランペット、ティンパニのそれぞれ "自分の楽器の一部をそのまま利用出来る楽器" を古楽器に変え、モダン楽器と交えて演奏する例は、確実に増えています。
例外はありますが大抵、若い人達が新しい (古い) ものに興味を示して柔軟に対応し、定年前の人達が顔を顰めます。
フルートでさえ、バロックフルートにして下さいと言われる事は無いものの、「指揮者が木のフルートでお願いしたいと言って来ていますが」との通達はスイスで一度、ザルツブルクでは数度ありました。
それを嫌がる人、又は持っていない人は仕事を降り、新鮮な物に興味がある人が残ります。
最近では一周半して、バリバリの金属の楽器を使って木のような渋い音と奏法を追求することがカッコイイ、という流れまで出てきました。
現代は現代で、きっと後世まで語り継がれる、なかなか面白い時代と言えるでしょう。
話が逸れました!
技術、社会、思想、音楽の、激動の時代に生まれた楽器が
今私の手元にある、前記事でご紹介した一本め、コレです。
空気を吸って、
(165歳のケースは、つっかえ棒が必須!
初日から紙製ビールコースター大活躍(^^;;)
オイルを吸って、
長い長い眠りから覚めようとしています。
ヨーロッパも日本も、物凄いスピードで変わりゆく環境の中でもがいていた時代のサウンドを聴きにいらしてください。
詳しくはひとつ前の記事にて公開中です。
lara